はじめまして、いつも胡蝶蘭の事を調べる際にこちらを拝見してお世話になっています。今回色々調べてみてもどうしても判断がつかずご相談する事にしました。根腐れを起こした2株から新たに発根してきた根が黒いのです。これはまだ病気の進行が止まっていないのでしょうか?詳細は今年の4月に遡ります。胡蝶蘭をいただきまして、それは透明なポットに外がバークで中央が水苔の状態で植えられた物が3株大きな化粧鉢にまとめられたものでした。以前同じ園芸店の胡蝶蘭をいただいた際に軟腐病でダメにしてしまった経験があったため、葉水のみで2カ月育てていました。6月頃にそのうちの一株の花が萎れだしたため、熱消毒をした園芸ばさみで花茎を切りましたが、その際に根元が黒く変色していること、葉が黄色くなっていることに気が付いてすぐに他の2株と隔離しました。その後成長点の葉が透明で湿っぽい事に気が付き、花茎の根元の黒くなっている部分と成長点の葉を出来る限り抉り取ってエムダイファーのペーストを塗布しました。その後も根元から葉が黄色くなったり、緑の葉に溝がたくさん現れたりしたため異変が現れた箇所は削ったり、切断してエムダイファーを塗っていたのですがその株は一ヶ月後に緑の根が発根し始めて調子が良くなったように見えたためポリ袋入院させた所わずか3日で枯れてしまいました。成長点の付近が黒くグズグズになっていて、根の切断面は紫の輪がありました。他の2株も根が詰まっていたことと、同様の細菌に感染している恐れがあったためそれぞれ別の日にポットから出してみました所、なんと一度も水やりをしていないにも関わらず水苔が湿っていて、水苔を抱いていた根が全て黄色くブヨブヨになっていました。また一部箇所が黒く変色していたため、その部分とブヨブヨの根を切除してエムダイファー希釈水に5分付けた後、2週間明るい日陰にてぶら下げておきました。2週間後に透明なプラ鉢にバークで植え替えを行い、今植え替えてから1ヶ月が経とうとしています。そろそろ水やりを再開しようと思っているのですが、まだ病気が治ってないのではとなかなか再開できずにいます。元気な根が2、3本しかなく緑のワイヤーに支えられている株と比較的根が残っている黒いスタンドに入っている株の2株です。植え替え後、新たに茎からプツプツと発根しだした根が黒いのはまだ病気なのでしょうか?ご回答いただけますと助かります。よろしくお願いします。
全体像が無いので確たることは言えませんが、他の2株は画像から見る限りフザリウム症のおそれはないように見えますが、両方とも生長点に異常があるのか脇芽が出ていますね。おそらくこの脇芽を育てるしか生き延びさせる方法はないのではないでしょうか?
ともあれ全体画像も添付いただければありがたいです。
>2週間明るい日陰にてぶら下げておきました。
これ乾かし過ぎと思います。
出かけていた新根が黒く死んでいるのは「乾かしすぎ」も原因であるかもしれません。
出かけている新根の成長点が黒く死んでしまう原因はいくつかあります。最も多いのが「接触刺激」成長点の先端は浸透膜が非常に薄く弱いので物理的な刺激に非常に弱いです。動かない固いものには大丈夫なのですが動きのある固いものが接触すると浸透膜が傷つきそれだけで死んでしまいます。
次に「胡蝶蘭の新根先端の細胞液濃度より高い濃度の溶液に触れる」ことです。濃い肥料や、薬剤などは根の成長点から浸透膜を通じて細胞内の水分を奪い取るので死んでしまいます。殺菌剤ペースト塗布はもろ刃の剣で菌の繁殖を抑えますが、出ようとする新根に対しては死刑宣告ですね。
根も伸びて根周囲の保護層ができてしまえばそんな脆いものではないのですが、新根の先端、生長点の先端は非常にデリケートなものであることをご承知おきください。
もう一つの原因となるのが「乾かしすぎ」。空中湿度が80%くらいと高ければある程度は防げますが、乾かしすぎても、根の先端への水分供給が出来ず新根の先端が休眠〜枯死します。
最後に「病菌による」もので、実は新根先端が黒くなるのは病気ではない理由のほうが多いのです。


>昼間うっすら存在を視認できるくらいの空間
では暗すぎます。これで何週間も置いたのでは株が相当に消耗しています。脇芽も生存の途を多岐にするための緊急避難である可能性もあります。
園芸界で言うところの明るい日蔭は「直射太陽光線の当たらない明るい窓辺」です。
直ちに「直射日光はあたらないけれども明るい窓辺」に移し乾く直前に水やりをして様子をみてください。脇芽はそのままにしておいてください。


今は1、2週間の長すぎる日陰管理の後、胡蝶蘭達は7月の下旬に植え替えをした後は約1ヶ月間明るい日陰に置いた状態です。家の中で最も明るい南向きの窓際ですが、今の季節は日が高いためほとんど明るい日陰でした。最大で1500ルクス程度と弱めでした。また思い切って昨日の夕方から水やりを再開してみました。このまま様子を見てみたいと思います。
ところでこちらは白い花が咲くタイプの胡蝶蘭なのですが、どちらの株も新芽や脇芽など所々が紫色なのは赤やピンクの花の胡蝶蘭でなくとも株自身の持つ色素として特に気にしなくても大丈夫でしょうか?
胡蝶蘭には5000ルクス以上1万ルクスくらいまでが良いと思います。それ以上明るくても2万ルクスくらいまでなら障害が(日焼が)生じない個体もありますが品種差、個体差がかなりあるので、1万をこえると株によっては日焼け症状がでるものがでてきます。
白大輪の品種でも過去の交配にピンク花が使われるなどしてアントシアニン色素を造れるものが多いです。白花である理由は夜間の花粉媒介者にとって目立つからですが、正面白でもセパル裏が薄紫に染まっている花の個体は多いです。そのような個体は葉の色素には紫外線や低温から身を守るため(黄色の色素よりアントシアニンのほうが紫外線に強い)紫を帯びます。
純粋アルバの個体はアントシアニンを造れず、黄色のフラボノイド色素を充てるので黄色みが強くなったりはしますが紫色は帯びません。


葉の黒点は老化にともなうシミのようなものです。


やはり葉が根元から黄色くなって落ちるなど顕著な症状が出てこないと判断つきませんよね…。念のためもう一つの株とは引き続き隔離しながら見守っていきたいと思います。
ひろし様には今回様々な事を教えていただき、大変勉強になりました。この度は本当にありがとうございました!